ガバナー補佐卓話
子どもは社会の未来~現代社会の子ども家庭をめぐる問題~
ガバナー補佐 溝口秀男様
今日、小中学校現場で繰り返し起こっている、いじめ、自殺、不登校などの事象も、家庭にあって日々家族とともに暮らしている子どもであり、当然、家庭(家族)と無関係な問題ではありません。
また、時折マスメディアに大きく取り上げられる青少年による凶悪事件にしても、家庭における養育過程での親子間の悲惨な葛藤が要因となっていることが殆どです。
こうした事象の根源的背景といっても過言ではない家庭内子ども虐待や DV など児童相談所、市町村、警察などへの虐待通告相談件数は、第1395回例会報告 令和6年1月17日(水)ガバナー補佐卓話経年的に増加の一途にあります。その数は別表グラフのように、昨年(2023 年)は 219,170件に至っています。しかし、この数字にしても、欧米各国の状況と比較してまだ氷山の一角という現状であり、高齢化、少子化の進行する我が国の未来にとって極めて深刻な問題です。
加えて、グラフに示されているように、施設や里親に保護される子どもは、児童虐待防止法が制定された 2000 年当初から 4 万 5 千人程と定数処理が続いており、虐待通告された子どものうちのほとんどは見守りと称して家庭に置いたままであり、里親・施設等に分離保護されるのは結局 2%程というのが現状なのです。すなわち、虐待など不適切な養育を受けるもそのほとんどの子どもは支援を受けることなく家庭で育ち、地域の保育園、幼稚園、小中学校へ所属するのはいうまでもありません。
本講演では、戦後から今日に亘る我が国の社会構造の流れと、家庭機能の変化、あるべき子ども家庭福祉のパラダイム転換の必要性に触れ、その理解と関心を深めていただきたい。