会員卓話
労働問題について
佐々木 亮
私の職業分類は,弁護士ですが,ここ数年は,労働問題に関するご相談を受ける機会が増えているように思います。そこで,職業奉仕の一環として,労働問題に関する卓話をさせて頂きます。
労働問題は,事業者の経営に大きな影響を与えます。例えば,未払賃金として,多額の金銭を請求されたり,解雇が無効であるとして,争われるケースが散見されます。
割増賃金を支払っていなければ,裁判所の判断で,付加金といって,2倍の賃金を支払うことにもなりかねません。また,裁判所で解雇が無効と判断されれば,当該事業者のもとで,当該労働者が働いていないとしても,遡って賃金を支払わなければなりません。
私の個人的な感想を言えば,就業規則が適切に整備されていなかったり,労働条件について,使用者と労働者の間で明確な合意内容を示すものがなかったりするなど,労働環境の整備が不十分なケースが多いと思われます。
また,どうしても裁判となると証拠が重要になってきますが,この証拠が十分に確保されていないケースが多いです。
紛争が起きてからだと,多大な労力と費用が生じてしまいます。事業者の皆様においては,まずは,紛争が起きる前に,労働環境の整備をしていただき,その際に必要があれば専門家から意見を聴いてみてはいかがでしょうか?
まずは,第一歩として,就業規則の内容の確認をオススメします!