ゲスト卓話

ゲスト卓話

自然災害と防災・減災山梨県中北地域県民センター

 野中加代氏

 南海トラフ地震はいつ発生してもおかしくない災害だといわれていますが、山梨県に災害をもたらす危険は、南海トラフ地震に限られません。山梨県内には断層帯がいくつか存在しており、その断層帯で地震が発生した場合には南海トラフ地震の被害を超える可能性が指摘されています。山梨県では大雨による災害の可能性もあります。県内には危険なアンダーパスが 18 箇所あり、そのうち 7 箇所が甲府市内にあります。

 ハザードマップは、過去の災害データや地理情報を基にして地域で起こる災害を予測して地図に落としたものです。地域の災害リスクを確認でき有用なものですので、ご自分のお住まい、勤務先、経路についてハザードマップを確認することで大切な人を守ることができると思います。いくつもの災害リスクを重ねて確認できる「重ねるハザードマップ」もおすすめです。

 また、気象庁のキキクルも有効です。キキクルで確認すれば災害の危険度がすぐに分かるようになっております。

 山梨防災ポータルは、気象情報、何注意報、何警報が出ているか、また、避難所の開設状況までリアルタイムに分かるものになっております。

 南海トラフ地震が発生した場合、他の近隣都県も被災しておりますので、山梨県は近隣から応援を得ることは難しい状態になりますので、備蓄をしていただきたいと思います。基本的な備蓄として、食料や水、ティッシュ、トイレットペーパーなど基本的な生活用品といったものが挙げられます。最低でも 1 人 3 日分、できれば 1 週間分、家族の人数分の備えがあればより安心です。非常持ち出し袋を開けてみたら賞味期限が切れていたということも起こり得ます。できれば、毎年、防災の日などに中身を点検することもしていただきたいと思います。避難所暮らしではビタミン類が不足するそうです。また、甘いものを備えておくと心を癒してくれるのではないかと思います。私は、枕元にスペアのメガネを置いております。それぞれに必要なものをご準備ください。ただ、重すぎて持ち運べないといった事態が起こらないよう、中身はよく精査をしていただきたいと思います。食品を少し多めに買っておき消費しながら買い足すというローリングストックも大事です。

 山梨県は大雨、地震、そういった災害リスクは大きなものを抱えており、いつ災害が起きてもおかしくない状況にあります。いつ起きるか分からない災害に対して適切な備えをすることで被害を軽減できることをお伝えしたいと思います。大規模水害時における広域避難に向けた取り組みについて山梨県防災局

 笠井氏

 広域避難についてお話しします。背景として、近年、全国各地で大規模な水害が発生しており県内の一市町村の中での住民避難が困難となるような区域災害が予想されています。そこで、他市町村へ行政界を越えた避難(広域避難)が必要となっています。

 山梨県の河川の特徴は、延長が短く急勾配というものです。大規模な水害によって広範囲への浸水が想定されます。このため、市町村域を越えた広域避難について検討を進める必要があることから、令和 2 年度から、県、国(甲府河川国道事務所、甲府地方気象台)、全市町村が参加する広域避難検討会を開催してきました。そして、広域避難の円滑な実施を図るため、大規模な水害が発生するおそれがある段階における県や市町村等における共同検討会の設置や、広域避難に関する情報発信を行う際の判断目安について取りまとめ、令和 4 年度から運用を開始しています。