最近のポリオ症例について理解する

最近のポリオ症例について理解する

世界保健機関(WHO)によると、今月、コンゴ民主共和国とシリアでワクチン由来ウイルスによるポリオの症例が報告されました。

シリアでは少なくとも17件、コンゴでは少なくとも4件が確認されています。現在、この事態に早急に対応するため、両国では世界ポリオ撲滅推進活動(GPEI)によりさらなる予防接種活動と現地調査が行われています。

WHOによると、さらなるウイルス拡散を防ぐため、近隣国でも調査と予防接種が強化されています。

新たな症例が確認された一方で、ポリオ撲滅に向けた懸命な取り組みにより、今年の現時点までに報告された症例数は過去最少となっています。先日アトランタ(米国)で開かれたロータリー国際大会では、寄付国や寄付団体がポリオ撲滅に12億ドルを寄付することを約束し、取り組みにさらなる拍車がかかると期待されています。

ワクチン由来によるポリオ発症はまれであり、野生型ウイルスによる発症とは異なります。ワクチン由来ウイルスと野生型ウイルスの症例の違いについて、以下に簡単にご説明します。

Q: 2種類のポリオ症例はどう違うのですか?

A: 野生型ウイルスによる症例は、環境内に存在するポリオウイルスによって引き起こされるものです。

ワクチン由来ウイルスによるポリオ発症はまれであり、特定の状況においてのみ起こります。ポリオウイルスの病原性を弱めて作られた経口ワクチン(生ワクチン)は、まひ症状を引き起こさずに、免疫を高める効果があります。ワクチンの投与後、弱められたウイルスが子どもの腸内で増殖し、その後で排泄されます。衛生環境の乏しい地域では、この排泄物に含まれるウイルスにほかの子どもが感染する可能性がありますが、これはその子どもの免疫を高めることにもなるため、必ずしも悪いことではありません。免疫のない(弱い)子どもがこのウイルスに感染しない限り、ウイルスはいずれ自然に消滅します。

しかし、予防接種率が低い地域では問題が生じます。ワクチン由来ポリオウイルスが予防接種を受けていない子どもや十分な免疫力のない子どもを通じて広がる恐れがあるからです。ウイルスは、長期にわたって(少なくとも12カ月)伝播すると、まひを引き起こすほど強力なウイルス株へと変異する可能性があります。

Q: ワクチンは危険なのでしょうか?

A: 経口ワクチンの使用により、1988年以来、ポリオ発症数は99.9%減少しました。野生型ポリオウイルスによるリスクは、ワクチン由来ウイルス伝播による発症のリスクと比べ、ずっと大きいと言えます。野生型ポリオウイルスが撲滅されれば、ワクチンの使用を中止することができます。

Q: ワクチン由来ウイルスによる発症はよくあることなのですか?

A: ワクチン由来ポリオウイルスの伝播によって引き起こされる症例は、きわめてまれです。

Q: 野生型ウイルスによる発症はどのくらい確認されていますか?

A:  野生型ポリオウイルスによる症例が見られるのは、ポリオ常在国(アフガニスタン、ナイジェリア、パキスタンの3カ国)だけです。2017年の現時点で報告された野生型ウイルスによる症例は、わずか6件にとどまっています。これは、歴史上最も少ない数であり、症例が確認された地域も地理的にかつてないほど狭まっています。

Q: ポリオ症例はどのように発見されるのですか?

A: ポリオのサーベイランス(監視活動)は、2つの活動から成ります。医者とヘルスワーカーが子どもたちのモニタリングを行う一方で、十分な衛生設備のない地域では、保健当局が下水システムやそのほかの場所から採取した水の検査を行っています。

最近、野生型ウイルスによるポリオ症例が発見されたことは、このようなサーベイランスが機能していることの証でもあります。

Q: ワクチンについてもう少し詳しく教えてください。

A: ワクチンには「経口ワクチン」と「不活化ワクチン」の2種類があります。経口ワクチンは、1型、2型、3型のウイルスに対して免疫を高める効果があります。

2型の野生ポリオウイルスは1999年に撲滅されたため、現在のワクチンには1型と3型のみが含まれています。2型を除いたことで、1型と3型に対してより迅速に、強力な免疫を付与できます。注射の不活化ワクチンは、不活化されたウイルスを含んでいるため、発症を引き起こすことはありません。